濡れたままの服にアイロンをかけるとき、一体どんなことに気をつければ良いのでしょうか?
この方法は服を乾かす時間を節約でき、シワもきれいに伸ばすことができる一方で、服を傷めるリスクも伴います。
この記事では、濡れた服にアイロンをかける際の注意点を解説し、安全にシワを取るコツを方法を紹介します。
あなたの大切な衣類を長持ちさせながら、きちんとした見た目を保つためのポイントをぜひ押さえてください。
やっていることはスチームアイロンと同じ
手間が省け時短になる?
濡れたままの服にアイロンを掛けるのは、ちょっと乱暴な言い方をすれば、霧吹きを使用したアイロン掛けやスチームアイロンを使うのと同じこと。
通常は、洗濯が終わったら一度服を乾かして、その後霧吹きを使ったり、スチームアイロンを使ったりします。
でも、アイロンを掛けるときに服を湿らせるなら、洗濯後にそのままアイロン掛けした方が、服を乾かすという手間が省けていいんじゃない?というのが、濡れたままの服にアイロン掛けをするメリットです。
場合によっては失敗することも
生地内の水分を熱し、高温の水蒸気にすることで効率よくシワを伸ばすという点においては、濡れたままの服にアイロンを掛けるのは、スチームアイロンを行っていることと同じことをしていると言えます。
スチームアイロンであれば、スチーム(水蒸気)の量やアイロンの温度管理はアイロン側で行ってくれます。
一方、濡れたままの服にアイロンを掛ける際は、水蒸気の量を管理することは出来ないため、生地の種類によってはアイロン掛けはよりシビアになると考えてください。
つまり、濡れ具合や生地の種類によっては思わぬ失敗をする可能性があると言うことで、これがデメリットと言えます。
天然素材はOK!化繊はNG!
濡れたままの服にアイロンを掛けることができるかどうかは、服の素材によります。
ごく簡単に言ってしまえば、
- 天然繊維(自然素材)の服はOK
- 化学繊維の服はNG
という言うことになります。これは何が違うのかというと、熱への耐性です。つまり、熱に強ければOK、弱ければNGということです。
天然繊維、たとえば木綿に化繊であるポリエステルが混ざっているような生地も、基本的にはNGと考えてください。
もう少し詳しく見ていきましょう。
大前提:アイロン掛けがOKであること
まず大前提として、アイロン掛けOKの生地であることを確認しましょう。対象となる服の洗濯タグを確認し、スチームを使用したアイロン掛けがOKのマークであることを確認してください。
マーク | 解説 |
---|---|
アイロン仕上げ処理はできない | |
スチームなしでアイロン仕上げ処理ができる。 | 底面温度110°Cを限度として|
底面温度 150°Cを限度としてアイロン仕上げ処理ができる。 | |
底面温度 200°Cを限度としてアイロン仕上げ処理ができる。 |
表のうち、初めの2つのマークである場合、スチームを使用したアイロン掛けが出来ないので注意してください。
天然繊維(植物繊維)は熱に強い
天然繊維は出来てしまったシワが取れにくいという性質があります。また、天然繊維は丈夫で熱にも強いため、シワを伸ばすには高温でしっかりアイロン掛けすることが大事です。
もちろん、濡れたままのアイロン掛けも大丈夫。
天然素材 | 特徴 | 濡れたまま アイロン掛け |
---|---|---|
木綿 | 丈夫 熱に強い | 可能 |
麻 | 丈夫 熱に強い | 可能 |
絹 | 熱に弱い シミになりやすい | おすすめしない |
ただし、天然素材であっても熱に強いのは植物繊維だけです。動物繊維のひとつである絹は熱に弱いため、濡れたままアイロン掛けするのはお勧めできません。
また、いくら熱に強いと言ってもアイロンの温度管理は重要です。高すぎると、おかしな染みができたり、変色したりします。洗濯タグのアイロン仕上げ記号にしたがって、生地に合った温度でアイロン掛けをしてください。
化学繊維は変色・変形の可能性
化学繊維でも、きちんと温度管理ができれば問題ないのですが、濡れた服の水蒸気をちゃんとコントロールするのは難しいと思います。
アイロンの温度が低いと水蒸気になりきらない水分が残り生地が湿っぽくなったりしますし、逆に温度が高くなりすぎてしまうと生地が変色したり溶けたりする可能性があります。
化学繊維の場合、きれいにシワを伸ばしたいということであれば、服を乾かしてから素直にスチームアイロンを使用した方が無難だと思います。
アイロン掛けが終わったら干すこと
濡れたままの服にアイロン掛けをした後、すぐにそのままクローゼット等にしまわずに風通しの良いところに干してください。
アイロンを当てシワを伸ばした程度では、まだ生地の中に水分が残っているのです。
言ってみれば生乾きの状態ですので、そのままにしておくとヘンなニオイが付いたりすることがあります。
服を乾かそうと、生地に長時間アイロンを当てたり、生地で指定される温度以上の温度でアイロンを使用すると、生地を痛めたり生地が変色したりするので気をつけてください。
まとめ
最後に濡れたままの服をアイロン掛けする際の注意点をまとめておきます。
- 生地が綿または麻であればアイロン掛け可能
- アイロン仕上げまたはスチームを使用したアイロン仕上げが禁止されていない生地であること
- アイロンの温度管理は大切。必ず、洗濯タグに指定されている温度を守ること
- アイロンを掛け終わったら風通しの良いところに干すこと
- 絹は熱に弱いので避けた方が無難
- 合成繊維や混合繊維の服も避けた方が無難
結局のところ、生地が天然繊維の木綿または麻の場合にだけ、服が濡れたままアイロン掛けが可能、と言えそうですね。